奇蹟の価値はー劇場版 とある魔術の禁書目録 エンデュミオンの奇蹟
原作は発行部数1400万部を超える10年代を代表するライトノベル
鎌池和馬はどのような人物か
映画が始まって上条さんの声を聞いた時
ある現在放送中のTVアニメと私の中でリンクが形成された。
それは同じくJCスタッフの制作する漫画原作アニメ
バクマンである
亜城木夢叶の作画担当の真城最高を演じている。
ふと、バクマンの思いを馳せると、
その劇中で最高と同世代の天才漫画家、新妻エイジが鎌池和馬にダブって見えた。
新妻エイジは週刊少年ジャンプで2本の漫画を連載するほどの速筆で有名だ。
同じく鎌池和馬は3ヶ月に1冊以上のスピードでライトノベルを世に出している。
今回の映画では鎌池和馬はストーリーの原案で参加している。
新妻エイジは自分の漫画がアニメ化するときはアニメ化用のネームまで書いてしまうほどの人物だ。
上条当麻ー真城最高が拳一つで立ち向かう映画なのではないかと私には思えた。
もう一つ、この映画の脚本家、吉野弘幸の存在が気になった。
この映画を見たものの多くが、マクロスっぽいと話していた。
それもそうだろう。
歌姫の歌声に合わせて戦闘が展開するシーンを描かせたら、
この人は日本ではトップクラスだろう。
しかし、昨今のアニメオタクにはこの人物がシリーズ構成を担当することは喜ばれないこともある。
だが、TVシリーズの脚本ではなく、こと映画の脚本に関してはかなりの実力を、この吉野弘幸は持っていると私は思う。
とある魔術の禁書目録は大河小説であるので、
登場人物が銀河英雄伝説並に多い。
小説のファンとしてはせっかくの映画なのだから、
たくさんのキャラクターの活躍を見たいと思うだろう。
吉野弘幸の脚本は、それをかなり実現している。
特に一方通行(アクセラレーター)の登場シーンは短いが、
ちゃんと伏線も張られた上で、
アクセラレーターでなければ対処出来ないシーンでの登場となっている。
とある科学の超電磁砲のオリジナルキャラクターの佐天涙子も、
いつもの騙されやすいキャラクターとして登場している。
佐天涙子の平常運転ぶりを見て喜んだものも多いだろう。
攻殻機動隊である
それもタチコマの活躍があるSACだ。
科学サイドにタチコマに似た兵器が登場する。
光学迷彩で多脚の兵器に少女がバイクに跨るような姿勢で乗り込む。
SACから10年がたつ。
日本のアニメーション技術の進化をまざまざと見せつけてくれた。
高速での魔術サイドの火、水、土、風の魔法使いとの戦闘は確かに紛れもなく映画であった。
この一連のシーンが有ったおかげで、多くの観客が劇場版の禁書目録にのめり込んで行ったことだろう。
最後にこの作品のテーマについて語ろうと思う。
副題にあるように、それは奇蹟についてだ。
みなさんは奇蹟をどのように受け取っているか。
劇中では、多くの人達が、
3年前の宇宙ジェット機墜落事故を奇蹟だと思っている。
ただ、一人だけこれに対抗して、
そんなものは奇蹟ではなくただの偶然でしかないと思う少女が出てくる。
奇跡的な出来事が、とある人にとっては偶然でしかないといった状況は、
現実にも起こりうる。
その出来事がその人物にプラスに働けば奇蹟で、そうでなければ偶然になる。
この問題を掘り下げた本作は紛れもなく映画であり、
その問は哲学的とさえ言えるだろう。
個人的な話になるが、
エンドロールに一つの驚きがあった。
東放学園映画専門学校という表記があったからだ。
この日の午前中、私は西新宿のこの学校に体験入学行ってきた帰りにこの映画を見た。
11月末、エヴァQを見て会社を飛び出した私は、
アニメーションの撮影の仕事をするために、
4月からこの学校に行きたいと思っている。